「ヤマダさん、覚えてるでしょ?辞めちゃったの。なんでだと思う?育休明けてすぐだよ、もう2人目ができたと思ったら、なんとそれが双子だったんだってー!それで、出産も大変だろうし、さすがに3人の子育てと仕事の両立は難しいから、って」
「あとね、セキさん。ヤマダさんと去年、同時期に産休取ったじゃない?そしたらね、なんと、2人目もまたヤマダさんと同時期に妊娠したのー!ふたりとも次々とスゴイよねー」
「あとね、クミちゃん、クミちゃんは3人目産んで、それでも仕事頑張っててね、、それでね、、、」
うぉーーー、もういい!!もういい、その話。1年ぶりに会った元職場の同僚。そりゃ、みんなの近況知りたいよ。でも、なんで席につくなり、その話題―っ⁈
セキさんなんて、私と同い年で、同じ年に、同じく39歳で結婚して、なんで、もう2人目なわけ⁈ 前の会社は10年勤めていたから、話にでてくる人は、出会ったころはみんな独身だった人ばかり。「位置について、よーい!」の時は確かに横に並んでいたはずの同僚たちがもう遥か彼方にいて、私だけ、まだスタートラインに立ち尽くしてる。そんな絵が頭に浮かぶ。
そー、へー、ふーん、はー、相槌を打つ自分の顔が、だんだん、引きつり始めてきているんじゃないかと心配になってきた頃、元同僚が言った。「あとねー、アキタくんはね、すごい頭が薄くなってきちゃったんだよー。」そえそう、最初にそういう当たり障りのない話から、お願いしますよ。
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